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2013-12-21 20:51 | カテゴリ:ドラマ
今日は3連休の初日、年末の仕事の忙しさもピークを過ぎ、
朝もゆっくり起きて、休養日としてのんびりしました。
本屋に行って、「月刊テレビジョン」と「ポポロ」を買いましたが、
どこか心ここにあらずの精神状態で、
結局『独身貴族』最終回をひたすらリピートしてしまいます。

最終回を観終わった時はストーリー展開と、
剛君以外の出演者の演技の印象が強く残ったのですが、
何回もリピートして観たくなるこの気持ちは、
やっぱり剛君演じる守さんの演技がこの上なく見応えがあり、
噛めば噛むほどではありませんが、
観れば観るほど味わいがあり、
心に浸透してくるからだと思います。

このドラマはいろいろな意味で
突っ込みどころの多いドラマでしたが、
毎回これほどリピートしたドラマも
なかったような気がします。
古い映画をモチーフに使っていたり、
BGMが名作の映画音楽だったり、
守さんの部屋や、社長室の雰囲気が
おしゃれで私好みだったりしたというのも理由のひとつですし、
剛君がスーツ姿の独身貴族の社長の役で、
今までにない素敵な姿、
立ち振る舞いを堪能できたというのもあります。

そして何よりやっぱり新しい剛君の演技を楽しめたこと。
長丁場の大きな舞台の座長を2回も務め、
クドカン映画、初刑事ドラマ、
手塚治虫にまでなりきったこの1年。
大変なスケジュールの中、
それだけの役をこなしてきた剛君の演技は、
やはり観れば観るほど進化しているのだという実感があります。

いろいろな意味で大きく揺れた『独身貴族』というドラマの中で、
一番揺れなかったのは守さんのキャラクターだと私は思いました。
確かに7話の玲子さんへのプロポーズはあまりに素敵すぎて、
あれほどのプロポーズをしたのだから、
という感想もたくさんありましたが、
子どものころから独りでいて、人との関わりに距離を置いて、
結婚なんてありえないと思っていた男が、
ゆきさんに出会って、初めて「見つけた」と思えたのに、
進さんとのあのシーンを見てしまって
心から傷ついたに違いありません。
そんな時、まるで母性の象徴であるような
玲子さんに大切にされたら、
母に甘えるような気持ちになって、
それを支えに自分の心の崩壊をくい止めようとしてしまっても、
自然なことではないでしょうか。
それは玲子さんに対する甘えであり、冒涜ではあったでしょうが。

守さんは人間としての弱さから、
玲子さんに対して罪を犯してしまったのであり、
守さんは罪を犯した自覚があるので、
最終回ゆきさんの真剣な告白を聞いても、
彼女の思いを拒否し、受け入れることを自分に許さず、
「独りで生きて行く」と答えたのだと思います。
守さんの固い殻の中には、
素敵な映画を作ることができる繊細な心があるのですから。

そこで現れた母性の象徴である玲子さん、
守さんの頬を思い切りはたいた姿はまるで聖母のようでした。
ドラマではあまり描かれませんでしたが、
守さんはどうもたっぷりと母親に甘えるような
あたたかい環境で育ってこなかったようで、
自分を素直に開放したり、
自然に人と関わったりすることのできない人間になったようです。

そんな守さんが皮肉にも婚約者だった
聖母のような玲子さんによって、
初めて固い殻を破り、人間らしい感情を語り、
玲子さんの力を借りて
本当の愛を得ることができるようになるなんて。

そんな屈折した星野守という人格を、
俳優草彅剛はぶれることなく丁寧に表現していたと思います。
人と距離を置いている振る舞いや語り口、
自分のアイデンティティーである映画に関しては妥協しない姿勢、
感性が共鳴し合う女性ゆきとベンチで語る時の無邪気さ、
進さんや玲子さんの優しさにふれて思わずにじみ出て光る涙、
進さんに壁を壊されそうになり、それでも自分の罪を忘れず、
怒りを爆発させ、抵抗する男の矜持。
そしてとうとう玲子さんに「しっかりしなさい!!」と叱咤され、
「兄貴は好きに生きればいいよ。」という
優しい弟の気持ちが心にしみわたって・・・。

最後ゆきさんにほんとうの気持ちを、一言一言大切に、
心を込めて伝えていく時、自然にちょっと一息入ったり、
微笑みが浮かんでくる守さんの告白、とても素敵です。

優しくゆきさんを抱きしめ、頭を優しくなでて、
ネックレスを渡すところも自然な愛がにじみでていました。
最後のふたりのキスが海からの光に包まれたのも美しかったです。

やっぱり草彅剛の演技のひとつひとつが大好きですし、
剛君の経験が演技に深みを与え、
表現力が高まっているなあとしっかり感じることができた
『独身貴族』に感謝です

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