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2021-05-31 23:59 | カテゴリ:ドラマ
昨夜の『青天を衝け』を見た後から、
深い悲しみとショックが後を引いて苦しいですね。

慶喜様と円四郎の胸襟を開いた語り合い。
慶喜様が長年孤独とともに抱えてきた奥底の思い。
「私は輝きが過ぎるのだ。
 しかし、そんな輝きは本来ない。全くない。全くだ。」
「フォトグラフに写っているのは、ただつまらなそうに
 こちらを見るだけの実に凡庸な男だ。
 父も誰も彼も幻を見ている。そなたもだ。
 そしてこの幻の輝きは実に多くの者の命運を狂わせた。
 私はただ徳川の1人として謹厳実直に天子さまや
 徳川をお守りしたいのだ。」

どこか冷めた眼差しで写真に写っている徳川慶喜公の
心の内を読み取った脚本家の大森さんに感服いたします。

そしてその台詞を徳川慶喜その人になり切って
自然体で呟く草彅剛さんの再現力に感服します。
「輝きが過ぎるのだ」という言葉が
耳に逆らうことなく入ってきますし、
廊下で立って円四郎を振り返った姿は光を放ち、
気品と風格があって、
円四郎に「しかしその輝きはこれからも
決して消えることはありますまい。それがしは殿を
東照権現様の再来と思うております。
その殿が作られる新しい世をそれがしは心待ちに
しているのでございます。」と言わしめるほど。

「そいうことを言われるのが嫌なのじゃ。」
「いやまあそう仰いまするな。この平岡円四郎が
尽未来際どこまでもお供仕りまする。」
「全くそなたには敵わぬ。」
永遠の愛を誓い、微笑み合う主従❗️❗️幸せの絶頂❗️❗️

この数分後に水戸の刺客に襲われる円四郎。

「嘘だろ?冗談じゃねえぞ。おりゃまだ死ねねえんだ。
 おりゃまだ見たいものが山ほど。死にたくねえな。
 死にたくねえぞ。殿、貴方はまだこれから。やす!」

堤真一さんの圧巻の死に様。流石超一流の名優です。
星の数ほどドラマや映画で人の死を見てきましたが、
円四郎の死に様は、リアルすぎて苦しくて切なくて。
突然命を奪われた円四郎の驚きと無念さが胸に焼き付いて
しばらくこの余韻から抜け出せそうにありません。
どなたかもTwitterで呟かれていましたが、
大昔『太陽にほえろ』で殉職したジーパン刑事の
「なんじゃこりゃ」を凌駕するほどの衝撃と哀感。
幸せの絶頂からのあまりにも突然過ぎる残酷な死に
悲しすぎて言い表す言葉も見つからないほどです。

慶喜様が知らせを聞いて走り出した時のチグハグさ。
演出家と打ち合わせもほぼない一発撮りだったそうですね。
剛君の演技に対する曇りのないピュアさが
次々とリアルな演技を生み出しているように感じます。

「円四郎よ。尽未来際、尽未来際と申したではないか。
 尽未来際ともに・・・。
 どうして・・・。どうして・・・。」

円四郎の胸に手を当てる慶喜様の震える指が泣いていました。
雨に濡れるお顔の中に確かに太く涙の筋が流れていました。
幸せの微笑から一転しての地獄。
それも自分の生まれ育った水戸の人間の手で下されたとは。
慶喜様の心にどれほど深い絶望感が刻まれたことでしょう。
今後の慶喜様の心にどれほどの暗い影を落としていくでしょう。

堤真一さんと草彅剛さんの俳優としての信頼関係が
平岡円四郎と徳川慶喜主従の信頼関係へと昇華され
奇跡の名シーンが誕生した第16回「恩人暗殺」でした。

冒頭に旅立つ渋沢篤太夫に円四郎が遺言のように伝えた言葉も
とても印象に残りました。
「一途に国のことを考えているかどうか。
 まっとうに正直に生きているかどうか、それだけだ!」
「だから渋沢。おめえはおめえのまま生き抜け。必ずだ。」

日本の歴史の中で平岡円四郎という名士がいたことを
初めて知りましたし、
深く感銘を受けた『青天を衝け』です。
脚本家演出家製作陣の皆さんの志に敬意を表し、
今後徳川慶喜と渋沢栄一がこの悲しみを
どのように乗り越えていくのかを
しっかり見届けていきたいと思います。

堤真一様、本当にお疲れ様でした。
素晴らしかったです❗️❗️
今後も剛君と共演してくださいね。
波岡一喜さんも含めて3人の共演がまた是非見たいです。
よろしくお願いいたします❤️


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