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2020-01-19 19:08 | カテゴリ:未分類
18日に贅沢にもマチネソワレ2公演を観てきました。

マチネでは1階の中央ブロック6列目の通路側。役者さんの表情が手に取るように見えましたし、激しいダンスや音楽がダイレクトに目に耳に飛び込んできて心身共に震えるような快感。極め付けは剛君が客席に降りてきて独裁者の苦悩や狂気を目前で見せつけるという場面もあり、必然ながら舞台の熱狂に飲み込まれていきました。ヒトラーの興隆をなぞらえたストーリーということを前提に観ているので、ウイに熱狂しつつも抗う自分がいて、自分自身が引き裂かれるような不思議な感覚でした。

ソワレは2階席中央ブロックの1列目で、舞台全体がよく見えて、登場人物全員の動きがわかりやすく、作品を俯瞰的に理解することができました。登場人物それぞれの役割や思いがとてもよく分かり、ウイとローマ、ウイとダルフィート夫人の相克など、火花が散るようなやりとりがドラマティックで感情が高ぶり見応えがありました。マチネソワレともに全ての演者さんたちが疲れを見せることなく、テンポの良い緩急に富んだ台詞の掛け合いが素晴らしく、感動のスタンディングオベーションでした。オーサカモノレールの一流の演奏をバックに、一流の役者さんたちが座長の剛君を中心に、この難しい作品のテーマを真摯に伝えようとなさっている姿に感動を覚えました。

13日の初回の後、内容に衝撃を受け、剛君のセクシーさにクラクラしながらも消化不良を冒して熱に浮かされていたような私も、ようやく全貌を受け止めた気持ちになっています。

そして今あらためてしみじみ思うのは、草彅剛さんのファンで良かったという確かな手応えと喜びです。
剛君は20代30代と数々の名作ドラマに出演してきました。『僕の生きる道』シリーズ、『TEAM』、『任侠ヘルパー』など、人間の生き方を真摯に突き詰めた作品、社会問題と対峙し問題提起する作品です。真面目なテーマに怯むことなく全身全霊でぶつかっていく剛君の捨て身な姿に私は心を奪われました。

ドラマから剛君ファンになりSMAPの草彅剛にも魅了されていきました。とにかくダンスが素晴らしい。しなやかな肉体、美しい体幹、絶妙なリズム感。剛君のダンスはセンスの良さがピカイチで、いつも釘付けになっていました。

でも、ここしばらくは、「私の心を虜にした草彅剛」を少し見失っているような気持ちになっていたのです。剛君はだんだん大人になってきて、剥き出しの感情を表に出さないようになりました。柔らかくて、飄々としていて、緩さを武器にした癒し系。それはそれでもちろん素敵なのですが、私を虜にした剥き出しの捨て身の本気の男はどこにいってしまったのだろうと。

ところが『アルトゥロ・ウイの興隆』で独裁者のアルトゥロ・ウイになり切ろうと全身全霊で立ち向かっていく剛君を観た時、私の中にあの震えるような感動がはっきりと蘇るのを感じました。剥き出しの捨て身の本気の草彅剛が確かに確かにそこにいると。冷酷でありながら孤独でかつスター性のある独裁者を自分の全身全霊を捧げて浮かび上がらせようとしている究極の表現者。私の大好きな表現者草彅剛が。

今回のアルトゥロ・ウイを演じる剛君は、これまでの経験の集大成にとどまらず、眠っていた新たな才能もスパークさせています。独裁者になり切ろうと日々演じているうちに、舞台全体を支配できるような演技の大きさやオーラ、百面相のように変化する表情や緩急操る台詞の表現力、ファンクミュージックで大衆を魅了する歌唱力とパフォーマンス力など、日に日にめきめきと進化しています。古谷一行さんや小林勝也さんのような熟練の役者さんやダンサーさんや女優さんと絡む時も堂々としていて余裕があります。捨て身が売りだった若き草彅剛は、今まさに本当の表現力を身につけた大人の表現者へと脱皮したと。

ものすごく難しいセリフにも、ものすごく長いセリフにも、怯むことなく向かっていく剛君が本当に誇らしかったです。そして、こんな難解な作品に全身全霊をかたむけることの出来る剛君の真面目さがこの上なく尊くて胸が熱くなります。

でも、きっと剛君はさらっとそしらぬ顔で言うのでしょう。僕は自分を役者だとは思ってない。お芝居するのはしんどい。難しいこと考えないで楽しい方がいいじゃんってね。

でも、剛君には長生きして欲しいから、普段の剛君はそれでも良いことにする。
だって、ずっとあのテンションだと身体も精神も持ちませんものね。
時々あの剛君が観られたら、私はそれで一生ついていけるから・・・。
どうか無理をしないで、いつまでもいつまでも剛君らしく前に進んでいってね。


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