2017-03-17 16:22 | カテゴリ:ドラマ
最終回で二科興三はどういう態度を見せるのだろうと思っていましたが、
「楓が死ぬ」という現実を突きつけられるまで、自分の罪を認めず、
自らの保身のために殺された人たちや
その家族の無念と絶望に歩み寄ること無く、
「それがどうした。」と開き直り、他人の心の痛みに思いをはせること無く、
最後まで自分のプライドを捨てなかった姿は情けなかったです。

そして、この場に及んでも相手や殺された父親まで侮辱するとは傲慢そのもの。
浩一の「俺は〜、お前みたいな大嘘つきが大っ嫌いなんだよ」と
渾身の怒りを込めて放った言葉に全く同感であり、
この思いに応えなければ、「人間として救われないなあ。」と思います。

このような、人の怒りや哀しみや涙を目前にしても、
絶対に「懺悔」などしないで開き直る一部の老人たちがこの日本社会にいますね。
自分たちが叩き上げで苦労して現代の日本社会を作り上げたのだという
自負心だけが正義で、その陰で日の目を見ること無く、
不名誉な死に方をした人間たちを悼み、敬意を払うという気持ちがない人が。
そういうプライドばかり高く傲慢な人々が作り上げた日本って一体どうなのでしょう。

今の日本はどうですか?正義や愛が社会できちんと機能しているでしょうか。
政財界、法曹界、医療界、教育界、芸能界、マスコミ業界などなど、
もちろん常識的な人間性と使命感を持って仕事をされている方が大半ですが、
弱肉強食はあたりまえ、自分の欲と利益とプライドを最優先して、
他人の命の尊厳を平気で踏みにじって罪の意識を感じない輩もあふれています。
詐欺行為はもちろん罪ではありますが、
善人の仮面を被った詐欺師以上の悪人は
どうやったら懲らしめることができるでしょう。

「目には目を。嘘には嘘を。」「地獄に堕ちろ〜。」

ドラマというエンターテイメントの世界だからこそ、
この日本社会の実態を見せて、
視聴者に知る機会を、考える機会を与えることができますし、
それがエンターテイメントの使命でもあると思います。
そういう意味で、そんな大きな使命を果たしたドラマ
『嘘の戦争』の脚本を書かれた後藤法子さんの功績は偉大ですし、
この作品の制作の携わった全ての人たちは素晴らしい仕事をされました。
ものを作る人たちが「志」を持って仕事をしているという熱量に圧倒されました。

詐欺師を主人公とすることで、現在の日本社会がどれほどの嘘にまみれているかを
実感させられました。そして嘘には良い嘘と悪い嘘があるということも。
百田やカズキ、ハルカやオウムが良いチームを作って詐欺の世界を魅せてくれました。
カズキが浩一を通して大人になっていく感じがよく描かれていましたし、
ハルカの愛情深い詐欺師っぷりが、可愛くてとても魅力的だったと思います。

人間の内なる「愛」や「良心」や「正義感」が人に涙を流させるのだということも。
こんなにたくさんのキャストの涙が流れた連続ドラマって他には思い出せません。

まず、主人公を演じる草彅剛があらゆる種類の涙をたくさん流しました。
そして共演者の方々も。でも人間には「愛」があるから涙が流れるのですよね。

「もう二度と二科家の前には姿を現さない。」と浩一に言われた時の楓の
涙が美しく、今時のドラマには希少価値になった純情なヒロインが素敵でした。
昔からヤクザな男と純真なヒロインは結ばれないのです。
「ごめんな。」といいながら楓の頭をなでる浩一の切ない風情が頭から離れません。

そして隆が、最終的にはあの二科興三も号泣しました。
二科隆は最後の最後まで、父興三と一の瀬浩一の復讐の板挟みになり苦しみましたね。
隆が涙を流す場面では、TVを観ていた娘が
「隆さんいい人で頑張っているのに可哀想すぎる!!!」と悲鳴をあげていました。

浩一を刺したことになっている晃を面会に来た楓と隆の場面。
楓が浩一からもらったリングを出して、晃と微笑み合い、隆も一緒に苦笑い。
晃が自らの罪を償わなければと思った気持ちは救われます。
やはり、罪を償おうという気持ちがなければ光に向かって進むことはできない。

最後の空港の隆と陽一のシーンはラストにふさわしい見応えがありました。

隆「そうやってつき続けるのか、嫌いな嘘を、ずっと。」(略)
陽一「同じだよ。嘘の無い人間なんていない。
   けど、嘘もつき続ければ、
   ひとつくらい本物になるかもなあ。
   一の瀬浩一は死んだ。
   復讐に囚われた男は消えて
   別の人間になれるかも。
   だから俺はつきつづける。
   うそがうそでなくなるその日まで。」
隆「で、そのパスポート、なんて名前なんだ。」
陽一「ないしょだよ。」
隆が初めて陽一に見せた笑顔。陽一も隆に笑顔を見せながら搭乗口へと向かう。

この時の草彅剛の堂々とした語り口に、
30年間この世の地獄を生き抜いて来た男の奥深さがあって見事でした。
何の因果か人間の裏の裏まで知り尽くし、天才詐欺師になってしまった男。
タイに戻った男、元通り詐欺師を続けているようでした。
でも白いシャツ。「ようこそ、オーナー。」と微笑む詐欺師。
復讐に囚われている男ではなく、
傲慢でいかれた日本人を懲らしめるダークヒーローになったのか?

最終回の回想シーンに登場した陽一の父千葉豊氏は清潔感にあふれていました。
父親は大学生に乱暴されそうになって殺されたOLの事件を公にしようとした人。
あのお父さんの息子だもの白いシャツのあの詐欺師は
もう昔の浩一ではないと思います。
最終回の次の日は3月15日で千葉陽一君の誕生日だったのですものね。

それにしても、草彅剛の演技は進化を続けています。
脚本・キャスト・スタッフの情熱を引き出した原動力となったのはやはり剛君の魅力。
人を惚れさせる力がなければ、あんなに情熱的な作品は成立しなかったでしょう。
草彅剛の中にある、覚悟・男気・愛・懐の深さは尋常でないのではありませんか?
つかこうへい氏に「お前は喜怒哀楽の表現がへただ。」と言われたという剛君が、
あんなに自然に豊かに繊細に感情を表現する役者になったのですね。
「役の感情を自分のものにする」ことをつか氏から教わったと言う剛君の演技が
長い年月を経て、多くの監督によってますます磨かれ、
今、多くの人に感動を与えていることが、とにかく嬉しいです。

カンテレの『嘘の戦争』のスタッフの皆さまには心からの感謝を申し上げます。
ファンは草彅剛の演技を、活躍をこれからもずっと見続けたいと願っています。
今回のドラマで草彅剛のかけがえのなさに気づいた視聴者もたくさんおられようです。
ファンは後押しを惜しみませんので、今後とも剛君をよろしくお願いいたします

2017-03-10 18:49 | カテゴリ:ドラマ
昔のオフコースに『言葉にできない』という歌がありましたが、
「言葉にできない」なんて歌詞を書く人が言っていいの?などと
思ったこともありました。でも、最近の全身全霊で演技に集中し、
お芝居以外ではどんな人にもただただ爽やかな笑顔を見せる
剛君を見ていると、「言葉にできない」という気持ちが
本当にあるのだなあと実感してしまいます。
「あなたに会えて本当に良かった。
 嬉しくて嬉しくて言葉にできない。」

「医学生の、これがお父さんで、こっちが僕。
 僕、気が弱くてさ、テスト前になるとお腹こわしちゃって、
 お父さんがおかゆを作ってくれて。」
この若かりし医学生2人の写真を見ている時の浩一の顔は
このドラマではほとんど見せてこなかった浩一の顔。
いや、陽一の顔。父と恩人である三瓶守の友情を見つめている顔。
「僕が医者になれたのはお父さんのおかげかもしれないね。
 なのに僕は。本当は許せないよね、僕のこと。
 僕も僕のことを許せないでいる。この30年間ずっと。」

剛君の演技で特に素晴らしいのは目の演技だと言われていますが、
写真を見つめている目だけで、心が動いているのがわかりました。
復讐心を秘めていた目が、父の友情を前にして人間らしい光に変わる。
心の動きや有り様を瞳だけでしっかりと表現する剛君の表情は
観ている側の心も動かし、心の琴線に触れる、
人間としての善なるものに触れるような気持ちにさせてくれるのです。

第9話で私が一番好きなのは、
三瓶守を辱めることを思いとどまった瞬間の草彅剛の演技。
ここも台詞の無い一人芝居でしたが、
表情と身体全体で人間らしさを取り戻し復讐心に自らストップをかけた
心の葛藤が見事に表現され(妄想シーンを入れた演出も素晴らしく)
ロビーを立ち去る浩一の後ろ姿が清々しく強い感動を覚えました。

浩一に気づいて追いかけて来た守とホテルの外で向き合うシーン。
守 「怖くて。」
浩一「でも、いてくれた。誕生日に俺のそばに。
   クリスマスも正月も。」
  「さっき知ったんだけど、
   僕と由美子さん誕生日同じなんです。
   僕も3月15日生まれ。
   家族全員亡くして、ひとりぼっちで、
   養護施設で誰とも馴染めなかった僕の誕生日を
   守さんが祝ってくれた。」
  「あなたちを巻き込みたくなかったんだと思います。
   俺の家族殺されたんで。 
   長い間、お父さんをお借りしてすみませんでした。」
  「もう、俺、大丈夫なんで。」
三瓶守が黒か白かと視聴者の間ではいろいろ憶測が飛び交いましたが、
視聴者の予想をはるかに上回る脚本にただただ脱帽で感動的でした。

「父と守の友情が滲み出ていた写真」
「2つの家族の幼い子どもたちの真ん中で優しく微笑む父の写真」
そして真実を言えず陽一を嘘つきにした自分を30年間責め続け、
自分の家族と離れ医師を辞めて陽一のそばにいてくれた三瓶守。

人は何によって癒されるのか、
何によって救われるのかを思い知らされました。

このシーンでは浩一が憑き物が落ちたように一瞬
陽一にもどったようにも感じられ、温かい気持ちに心が洗われました。
草彅剛は人間の心を掘り下げて、その心の機微を繊細に表現出来る
稀有な表現者であるとあらためて思いましたし、
その表現が歳を重ねてますます進化していることに心が震えます。

それに比較しても二科家の方は「懺悔」どころか逆行しています。
そんな家族にどう落とし前つけてくれるのだ!!という感じですね。

唯一の救いは楓が
「許してあげて。9歳の陽一君だけは。
 父と兄を許してほしいなんて言わない。
 自分のことは許してあげて。」と浩一に伝えにきたこと。

この楓の言葉を聞いている浩一の顔も一瞬陽一の顔に見えたから凄い。
浩一は、やはり自分の人間らしい部分に触れてくる言葉には反応している。
この時の楓の言葉が、三瓶守の優しさに気づく扉を開いたとも感じました。
でも、最後、浩一が晃のことを聞いた時、
晃が浩一を逮捕させようとしていることは言わなかった楓。
詐欺師の浩一は捕まっても仕方がないと楓の正義感が思うのか。
やはり自分の兄達は守りたいと思うのか。
このあたりははっきりしないので、
最終回を待つしかありません。

詐欺師仲間の百田とカズキの動きが物語を大きく動かしていますし、
六車との決着もついていません。そして、最大の浩一の望み、
二科興三に「懺悔」させたいという思いが届くか。
視聴者の予想を超えてくる脚本ですので、
どう超えて来てくれるか楽しみです。

最後、警察に追われて逃げるアクションシーン。
『任侠ヘルパー』を彷彿とさせるめちゃくちゃカッコいいラストシーンでした。
草彅剛はアクションが素晴らしいこともきっちり見せて下さるスタッフさんに感謝。

逃げて行く浩一を心配そうに泣きそうに見ているハルカの顔が可愛かったです。
「VS嵐」に番宣に出た希子ちゃんと美月ちゃんの仲直りダンスも可愛かったし、
番組の最後に「草彅さんがいたら勝てましたよ〜!」って言った美月ちゃんが大好き。
風磨君が『Wink up』で剛君のことを「太陽のような人!めちゃくちゃ格好いい!」
と言ってくれたのも嬉しい。若い人たちに尊敬され憧れられる剛君で嬉しいです。

とにもかくにも三宅喜重監督を筆頭に役者草彅剛を心から愛してくださる
スタッフキャストの皆さんにただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
とうとう最終回を残すだけとなってしまいましたが、
多くの人の熱い思いが結集した『嘘の戦争』は多くの視聴者の心を掴み、
ドラマの面白さを思い起こさせてくれる作品として注目を集めています。

WBCやホワイトデーと重なるという最終回になるようですが、
録画して何回も楽しむ方も多いようでね。私も第9話5回観ましたし・・・。

それでも最終回。ひとりでも多くの人に草彅剛の涙と思いを感じて欲しいです。
初めて草彅剛の演技を観て、心を掴まれたという方の感想をよく聞きます。
記録以上に記憶に残る俳優としてこれからも活躍してくれることを祈ります
2017-03-02 13:58 | カテゴリ:ドラマ
第8話は全体の熱量が半端無く、言葉にできないほどの迫力でした。
剛君の演技の素晴らしさは、YahooドラマレビューやWeb記事、
Twitterなどにあふれているので、長年のファンとしては嬉しく、
こんなにたくさんの方が草彅剛の演技を語って下さるということが
感動的で、皆さんの感想を読んでいるだけで十分な気持ちになります。

ということで第8話で私が特に印象に残ったことを。
剛君が雑誌のインタビューで何度も予告していましたが、
楓が全てを知って、浩一に楓への好意や約束も「全部嘘だ!」と言われた時、
あまりのショックと怒りで放ったビンタが本当に痛そうでした。

楓という女性は正義感が強く、優しく、真っすぐな人なのだと思います。
医者をしているくらいですから頭もよく、お嬢様ですので騙されやすい。
でも、ニシナコーポレーションのせいで一家心中をした友人のことで、
父を許せない気持ちだったし、浩一のことも結局会長のせいだと言っています。
不正や嘘や自己中心的な考えが許せないし、
弱い立場の人を思いやる気持ちもある。
いつかは二科家も昔のように家族が1つになってほしいと言う家族愛も強い。

一方で一の瀬浩一は天才詐欺師。
幼い9歳の時に嘘の証言を強要され続け、「犯人はお父さんです」と言ってしまった。
「嘘は嫌いだ」と説いていた愛する父を裏切ってしまった。
側にいて父親が証拠を託したと言う三瓶守医師さえ真実を言えなかったのだから
幼い陽一が生き残るためにはそれしかなかったのでしょう。
30年前の実行犯五十嵐とタイで出会って、その痣から事件の全容を知ってしまう。
そしてその関係者全員に復讐することを決意。
恩人である三瓶守にまで第9話で復讐をするという揺るがない気持ち。
二科会長、三瓶守の次には「千葉陽一」本人がターゲットになる可能性すら感じます。

そこで「千葉陽一」の心の奥底を見つめてみると、家族愛はもちろんですが、
そもそもこの凄まじい復讐の最も根底にあるものは、
不正を許さなかった、嘘が嫌いだった父の思いに報いたいという気持ちではないか。
「俺の見た地獄はこんなものじゃない」と言った「地獄」とは
大好きだった父「嘘が嫌いだ」と言った父と美しい母と可愛い弟を
自分の目の前で殺害した人間たちへの恨みの気持ちであり、
父が命をかけて守ろうとした「正義」に背いた自分自身を許せない地獄。
詐欺を続けることは、その心の傷に自ら塩を塗り続ける自虐行為。

うーん、この自虐行為を止められるのはのはいったい誰なのでしょう。
そもそも止めることができるのか?
一の瀬浩一を止められるのは、千葉陽一を救えるのは、
陽一が一番尊敬し愛していた父親だろうが、父親はこの世にいない。
父親と楓は共に医師であり、
真っすぐで「嘘が嫌い」というところが同じです。
隆の開発している「手術支援ロボット」は医療ロボット。
晃はどうしようもなくダメな男だが妹思いで愛情深いところもある。
ハルカは「たった一人の相棒だろ。」と浩一に言われて
報われるような救われるような気持ちになりますが、
恩人の守さんにまで復讐しようとする浩一の姿を見て、
「このままではいけない。」と感じているようでした。

ラストシーンは決まっているらしいですが、
週刊「テレビジョン」の剛君によるとその1つ手前が本当の結末だと思うらしい。
こんなに複雑で奥深い脚本を書かれた後藤法子さんへの信頼は高く、
キャスト全員が心から熱く作品に参加し物語を盛り上げていることが素晴らしい。
剛君が詐欺師を演じても、主人公の怒りや涙に感動させられるのは
草彅剛という人の根幹にある「正義感」「良心」が役に投影されているからでしょう。
見終わった後に心がポッと温かくなるなるような結末を期待して、
最後の最後までこの壮大な人間ドラマを応援し続けます

2017-02-22 23:36 | カテゴリ:ドラマ
第7話は、私の中では満足度が高い回になりました。
登場人物全員が血の通った人間として生き生きと躍動し、
しっかりと存在感を放ち始めたから。

詐欺師仲間の百田さんとカズキとハルカとオウム。
アジトの雰囲気もすっかりできあがって、
マスターとオウムの言葉の掛け合いがあったり、
浩一がオウムを構いながら復讐心を語っている時に
オウムが浩一の指に噛み付いたり、
バサバサッと羽を広げたり。
雑誌に書いてあったように一緒に演技をしているみたい。

4人で計画の打ち合わせをしたり、
進捗状況を確認し合ったり、
落としどころを探ったほうが良いと心配したり。
浩一がギャラを払ったからか仲間として今のところいい感じです。

でも、殺し屋六車の登場でこの仲間関係も大きく変化していきそう。
浩一「何が不満なんだよ!」
ハルカ「そういうこと言ってんじゃない!」
浩一「じゃあなんなんだよ。」(このぶっきらぼうな言い方が懐かしい!)
ハルカ「好きだから!死ぬところなんか見たくない!
    浩一が好きだから。」
浩一「・・・・・。」(ハルカの魂の告白に一瞬固まる浩一。しかし次の瞬間)
  (パソコンを見て)来た!」
獲物を捕らえたハンターのような恐ろしい眼に切り替わった浩一。
ハルカの健気さと、それを一瞬で振り払う復讐に燃える男のクールさ。
このすれ違う感じがドラマティックで、胸がきゅんとさせられるのですね。

二科家の方も、会長が入院したことで、
3兄弟の性格や立ち位置、関係性が一気に表面化し、
隆の奥さんや娘も家族の一員として存在感が出てきた。
ニシナコーポレーションの経営状況も明らかになって、
3兄弟の感情のぶつかり合いも人間味があって見応えがありました。

そんな中でも一番心に残ったのは晃のもとから浩一が去って行く場面。
晃「それより今日から無職だよ。
  ついてないなあ。ほんとに俺ってついてない。」
浩一「ついてない?」
晃「昔っからそう。トラブルにまきこまれたりダマされたり。
  俺が悪いわけじゃないのに。」
浩一「2000万騙しとられたのに、自分は悪くない?
   いやあ、そうですね。晃さんは今日もツイてなかっただけだ。
   じゃあ、僕はこれで。」
晃「あのさ、これからもそばにいてくれるよね。」
浩一「側にいながらこんな詐欺もふせげなかった。
   経営コンサル失格です。」
晃「いやあ。」
浩一「残念ですが、もうあなたの力にはなれない。」
晃「待ってくれよお〜。なあ〜。
  君にまで見捨てられたら俺どうすれば。
  一人でどうすればいいんだよ!浩一君!」

ひざから崩れ落ち、うなだれる晃。
そんな晃に振り向きもせず去って行く浩一。
みぞれまじりの雨が雪に変わって・・・。
ここまで書いて、ある歌を思い出してゾゾッとしてきました。
学生時代に一番流行っていたオフコースの『さよなら』。

「さよなら さよなら さよなら
 外は白い冬
 愛したのは たしかに君だけ
 そのままの君だけ

 外は今日も雨 やがて雪になって
 僕らの心の中に 降りつもるだろう
 降りつもるだろう」

あの雪まじりのみぞれって自然現象だったですよね。
晃と浩一の別れのシーンであれが降るってどういうこと?
男女の別れではないけれど、確かに愛し始めていた2人。
人間の弱さ愚かさを等身大に演じる安田顕さんと、
晃への落胆、侮蔑、憎しみ、愛着、哀感を滲ませる草彅剛。
今回の共演者は皆さん素晴らしいけれど、
この2人の役者としてのナチュラルさはたまらないし切ないです。

病床の会長が意識を取り戻し、浩一が放った
「生きて俺の復讐を見届けろ!」という言葉がよみがえって
興奮し血圧が上がっていくシーンも緊迫感がありました。
そんな会長を見ながら氷のような微笑みを浮かべる浩一。
ただならぬ雰囲気を感じた隆が浩一を
「出て行け!ここから出て行け!」と激しく追い出す場面。
隆の冷静さが崩壊していよいよ人間味が出て来て迫力があります。

BAR800のカウンター席でひとりで座り、
楓と電話をしている浩一のアップの顔や横顔も繊細で複雑。
浩一「何もないよ。隠し事なんて。
   楓に隠し事なんて、何一つしてないよ。」
疑心暗鬼になり始めてる楓を騙しきろうとささやく浩一の言葉。
その優しげな言葉はだんだんと力を失い、
良心の呵責を感じながらも
ふりきるようにクールさを保つ表情が悪くて悪くて切ないなあ。

第8話ではそんな楓がとうとう浩一の嘘を知る瞬間がおとずれるのかな?
今週のTVガイドの『嘘の戦争』連載に剛君の気持ちが書いてあって、
「本当に自分は悪いことをしているなあ。」と帰りたくなったそう。
こんな素晴らしいシーンが撮れて良かったとも語っているので見逃せません。

第8話の予告を見ると、新事実が次々と明らかになるようですし、
ハルカが危険にさらされ、浩一が撃たれる場面まであって
登場人物全員に血が通うようになって動きだしたような第7話。
もう完全に完璧に『嘘の戦争』の虜になってしまった私。
最後までこのドキドキのまま、
それでも希望の光を期待して追い続けたいです 
→第8話予告動画
2017-02-16 15:22 | カテゴリ:ドラマ
第6話を見終わった時から、
このドラマを書かれている脚本家後藤法子さん、
監督はじめカンテレドラマスタッフの皆さん、
リアルな怒りや哀しみや微笑みを見せる草彅剛、
そして主人公に真摯に向き合って下さる共演者の皆さんの
本気度に震えるような胸苦しさを抱え続けています。

楓「無理して笑ってるとか。
  私の知らない何かを抱えてるとか。」
ハルカ「えっ!?」
楓「なんだろう、どうしようもない、
  苦しい、怒り、みたいなもの。
  浩一さん、たくさん苦労してきたんだろうなあって。
  彼の抱える何かをちょっとでも楽にできたらなあって。
  そう、思ってます。」
ハルカ「ほんとに?
    これから何があっても許せる?浩一を。」
楓「(うなづく。)」
ハルカ「ほんとね。」
楓「私、うそは嫌いなので。」
ハルカ「いい子じゃん。」
浩一「ああ....。」
ハルカ「浩一をよろしくね。」
楓「はい。」

この時の3人のやりとりと表情が良かったですね。
私は、復讐劇が中心なのだから、
ハルカの片思いくらいはあってもいいけれど、
ここまで絡ませなくてもと思って、正直なところ
三角関係はドラマにいらないって思っていました。
でも、第6話を何度もリピートしていると、
このやりとりに意味が込められているように感じてきます。

興三「夜も寝ずに働いて働いて
   必死で働いて、勉強して、小さな工場を持った。」
浩一「そしてニシナコーポレーションができた。
   会長にとってこの土地は原点なんですね。」
興三「ああ。」
浩一「なら工場は建設すべきです。」
興三「意外とロマンチストだなあ。
   そんなことでコンサルタントが務まるのか。」
浩一「企業が力を失うのは
   働くものの熱意が失われた時。
   人の思いも資金と資材と同じように大事にしないと。」

この場面での剛君と市村さんとのやりとりがクールでいいんです。
剛君のこういう、仕事ができる大人な感じが凄くいい。
会長に経営コンサルらしく見せるための演技なのかもしれませんが、
それにしてもまた、この台詞がよく聞けば意味深に取れてしまう。
どこかのTV局か事務所のこと?

興三が倒れた時に、そのまま興三を置き去りにしようとする浩一。
「30年前の報いだ!
 父の分!母の分!弟の!俺の!」
あまりにリアルな感情の吐露に鳥肌がたちました。

そして興三を残して立ち去ろうした浩一の表情の長回し。
30年前に家族全員を奪われ、絶望し、
詐欺師となって生きながらえ
復讐心に命をかけ、
それでも人を殺せない
1人の男の積年の思いを
幾重にも表現した
草彅剛の演技が圧倒的で息を飲んでしまいました。

これだけの表情を次々とアウトプットできるのは
インプットして閉じ込めてきたさまざまな思いの蓄積があるから。
それは主人公一の瀬浩一(千葉陽一)であるけれど、
どこかしら草彅剛という人の思いとも重なって見えてしまう・・・。
この狂気。この怨念。そして夜叉になりきれない人間らしさ。

ここまでの脚本の中にも意味深に感じる表現が多々ありました。
脚本家後藤法子さんは、そしてこのドラマのスタッフの皆さんは
心底草彅剛を愛してくださっているのだなあと身に沁みて感じます。
剛ファンが思うほどメジャーではないのかもしれませんが、
剛君の思いや演技を心から応援している人は確実にたくさんいます。

第6話は興三と晃との親子関係が全く描かれない点に
もどかしさを感じました。
でも、興三は死なずに生き残ったようなので、
今後、この親子の顛末がしっかりとわかる時がくるでしょう。
TVLIFEの撮影秘話や晃役の安田顕さんのインタが興味深いし、
今週のガイドやテレビジョンによると、まだまだ視聴者の知らない
そしてスカッとするような嘘が仕掛けられているようですね。

ドラマが最後に近づくにつれ、寂しいような気持ちにも襲われます。
でも、やっぱり剛君の文学的な繊細な演技が大好きです。
草彅剛を見続けたいです。どんなことがあってもついていくぞ〜